私の出っ歯はマウスピース矯正で治療できる?
日本人は民族的に出っ歯の人が比較的多く、当院にも出っ歯を気にされている方が多く来院されます。
最近、ちまたでの広告が増えたこともあり、マウスピース矯正を検討する方が増えるなか、次のような相談が増えました。
「マウスピース矯正で出っ歯を治療できますか?」
「出っ歯を治療するなら、どんな治療が理想的ですか?」
このページでは、マウスピース矯正などの歯科矯正を検討している人が、十分な情報を踏まえて意思決定できるように、東京加悦矯正歯科クリニックの歯科医師が出っ歯の矯正治療について解説します。
目次
出っ歯とは
日常的に使われている「出っ歯」という言葉、実は歯科医師が使う言葉ではないため、定義があいまいです。
歯科用語の中で出っ歯に近い症状は、「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」といいます。
上の前歯が出ている状態(上顎前突)
上顎前突と診断されるケースでは、前歯や顔貌に特徴があります。
上顎前突の前歯
お顔を真横から見た時、上の前歯先端部と下の前歯の間の水平的な隙間をオーバージェットといいます。標準的なオーバージェットは2~3mmですが、5㎜以上になると上顎前突(じょうがくぜんとつ)と診断されます。
オーバージェットが5mm以上という診断の中にも様々なタイプがあります。
- 上の前歯が傾いているタイプ
- 上の前歯の位置が本来よりも前方にあるタイプ
- 上下両側の前歯の位置が本来よりも前方にあるタイプ
- 上のアゴの骨が前突しているタイプ
- 下の前歯の位置が後方にあるため、相対的に上の前歯が前突しているタイプ
上顎前突の顔貌
出っ歯の症状はお口の中だけでなく、顔貌にも影響します。
下の写真は上顎前突の人(26才女性)の写真です。
上顎前突の顔貌3つの特徴
- 唇を軽く閉じようとすると、歯が邪魔をして閉じ切れない。
- 口唇を閉じようとすると、オトガイ(アゴの先)に梅干しのようなしわができる。
- 口唇が突出していて(いわゆる口ゴボ)、横顔が好きになれない。
以上、出っ歯の中でも歯科医師が上顎前突と診断するケースについて紹介しました。
次は上顎前突とは診断されないものの、当院に来た一部の患者さんが「出っ歯」と認識する状態を紹介します。
上の前歯が目立つ状態
オーバージェットが標準の範囲内の方でも、上の前歯2本が大きく目立つ場合、ちまたでは出っ歯だと認識する人が多いです。
前歯2本が大きい場合もありますし、実際はそこまで大きくなくても隣の歯とのバランスで必要以上に大きく見えてしまう場合があります。
前歯2本が目立ってしまうケースを「出っ歯」と呼ぶかどうかは人によって意見が分かれますが、一部の方に「出っ歯」と認識されています。
※上の写真は二人のお口の正面写真です。共通しているのは、前歯2本が大きいこと。右写真の方はねじれていることで、より目立っています。日本人は民族的に上の前歯2本が隣の側切歯や下の歯よりも大きい傾向があり、前歯2本が目立つ様子を出っ歯だと感じる原因になっています。
出っ歯は治療すべき?
出っ歯が原因ですぐに病気になることはありませんが、出っ歯を治療をすることで以下を改善できる可能性があります。
- 前歯の機能性
- 前歯の審美性
- 口呼吸から鼻呼吸への改善 ※1
- 滑舌への影響 ※2
- 外傷リスク ※3
※1 出っ歯が原因で口呼吸になってしまっている場合。口呼吸はお口の中が乾燥する原因になり、むし歯・歯周病・口臭のリスクを高めます。
※2 出っ歯が原因で滑舌に影響が出ている場合。出っ歯が原因でサ行の発音が悪くなることがあります。
※3 出っ歯が原因でお口の中を傷つけやすい場合。出っ歯がお口の粘膜にあたる人は外部からの衝撃で傷つけやすい傾向があります。
このように出っ歯を治療することで、審美性のみならずお口の健康や滑舌、外傷リスクなどに良い効果があります。
次に出っ歯の治療法について紹介します。出っ歯の治療法はいくつかありますが、はじめにマウスピース矯正による出っ歯治療について紹介します。
マウスピース矯正で出っ歯を治療する3つのメリット
出っ歯をマウスピース矯正で治療する場合のメリットは大きくわけて3つあります。
歯並びを改善できる
マウスピース矯正は歯列全体にマウスピースをかぶせて、歯を正しいポジションに移動させます。矯正治療は前歯全体が治療対象となり、前歯の審美性・機能性を向上させます。
身体的な負担が比較的小さい
医療行為はどんな治療にもリスクがともないますが、他の選択肢(外科手術や補綴治療)と比べると歯科矯正はご自身の歯を活かせるという点で、負担が比較的小さいです。
※ただし個人の状況により異なります。
日常生活への支障が少ない
マウスピース矯正に使用する装置は、医療用プラスチック製のマウスピースです。
透明で目立たず、また非常に滑らかで滑舌(かつぜつ)への影響も限定的です。
歯並びが改善できる上、リスクや支障が少ないマウスピース矯正ですが、治療を検討する際はデメリットも踏まえて検討することが大切です。
マウスピース矯正で出っ歯を治療する3つのデメリット
マウスピース矯正で出っ歯を治療する場合のデメリットを紹介します。
一部の出っ歯だけが治療対象
マウスピース矯正は歯科矯正の中でも比較的軽度な症状が治療対象です。出っ歯の程度が強い方、仕上がりを細やかにこだわりたい方は、同じ歯科矯正でも、裏側矯正・ワイヤー矯正が向いています。
また、出っ歯の症状には歯の位置や傾きに原因がある場合と、骨格に原因がある場合があります。骨格が原因の出っ歯の場合、歯科矯正やマウスピース矯正で根本的な治療はできません。
1日20時間以上の装着が必要
マウスピースはご自身で付け外しするタイプの治療ですが、だからこそつけ忘れには注意が必要です。マウスピースは1日20時間以上の装着が必要ですので、性格的に自分で管理するのが苦手な方は、裏側矯正・ワイヤー矯正が向いているかもしれません。
治療期間が数ヶ月~数年
これは歯科矯正全般にいえることですが、治療には、歯を動かすための矯正期間が数ヶ月~数年かかり、その後、後戻りしないための保定治療が2年以上必要です。
出っ歯の症状によりますが、1日でも早く出っ歯の治療を終えたい方にとっては、補綴治療や外科手術が向いているかもしれません。
※補綴治療とは、歯を削ってかぶせものをする治療です。
マウスピース矯正 | ワイヤー矯正 | |
---|---|---|
歯を動かす治療期間 (前歯のみ) |
4.5~18ヶ月 |
3~12ヶ月 |
歯を動かす治療期間 (すべての歯) |
非対応 |
1~3年 |
歯を定着させる治療期間 |
2年~ |
2年~ |
マウスピース矯正は理想の治療法?
マウスピース矯正は、透明なマウスピースをご自身でつけて歯並びを改善できるという点で大変画期的な治療法ですが、治療対象は限定的です。
万が一、対象外の方がマウスピース矯正してしまうと、思うような結果が得られないことや治療がなかなか終わらないなどのトラブルになる場合もあります。お口の中の状態によって、適切な矯正装置を選ぶことは重要です。
どんな治療法を選んでもしっかり歯が動かせるケースもありますが、お口の状態によってはどの治療法を選ぶかによって仕上がりが変わってくるケースがあります。
矯正治療開始前のカウンセリングでは、予想される仕上がりについて話し合うことが大切です。
ちなみに上記写真の出っ歯の方が当院でワイヤー矯正(上が裏側矯正、下が表側矯正)した後の写真が次の写真です。
26才女性。非抜歯でも噛み合わせだけは良好な状態をつくるコトができましたが、患者様の口元を綺麗にしたいとのご希望もあり、前歯の位置を後方に下げるために小臼歯4本を抜歯し、全顎矯正で治療しました。
ご自身に合った治療は初診で確認
矯正治療をはじめる多くの方は、人生で初めての治療を経験します。
矯正治療を有意義なものにするために、当クリニックでは患者さんと歯科医師とのコミュニケーションを大切にしています。
気になる症状は「出っ歯」のように言葉になっているとは限りません。
例えば、「この歯の角度を変えたい」「歯の先端がとがって見える」「ここの並びが、なだらかじゃない」「下から写真を撮った時の見え方が気になる」「歯の正中と顔の正中が合っていない」など、ご自身の言葉で伝えていただければ大丈夫です。
マウスピース矯正にかかる費用
通常のマウスピース矯正では、初診カウンセリングで大まかな治療計画をたて、その後に精密検査を行い、問題がないことを確認してから歯を動かす治療にはいります。歯を動かし終わった後は、歯を定着させるための保定治療を行います。
初診 |
3,300円 |
---|---|
精密検査 |
22,000円 |
装置費用(上下片方の場合) |
440,000円~495,000円 |
装置費用(上下両方の場合) |
825,000円~935,000円 |
処置料(通院つど) |
5,500円 |
保定治療(通院つど) |
1,100円~3,300円 |
※価格表記はすべて税込みです。
https://www.kireina-hanarabi.jp/price/
医院紹介
当クリニックは、銀座駅から2分、デパート松屋の近くにある矯正歯科です。
矯正治療は100人いれば100通りの治療法があります。
患者さまお一人おひとりにご希望に最適な矯正治療を提案します。
待合室はオープンな雰囲気ですが、カウンセリングルームや診察室は個室となっています。
当クリニックの特徴
- マウスピース矯正もワイヤー矯正も治療している矯正歯科です。
- おためしプラン(平日昼限定)でマウスピース矯正を体験できます。
- ドクターとのカウンセリングは、患者さんの希望をしっかり聞きます。
- 治療のことなら、どんな質問にも回答します。
- インビザライン治療も行っています。
\ご相談・予約はLINEが便利です/
ここからは出っ歯のタイプ別にみる治療法を紹介します。
▶ 当院における出っ歯の矯正診療についてはこちらをご覧ください。
出っ歯の原因別治療法
出っ歯の症状はさまざまですが、出っ歯の原因は3つしかありません。
(1)歯が原因の出っ歯
(2)骨格が原因の出っ歯
(3)歯と骨格が原因の出っ歯
それぞれの出っ歯の治療法を紹介します。
出っ歯の治療法(1)歯が原因の出っ歯の場合
歯が原因の出っ歯の場合、一般的に治療法は歯科矯正と補綴治療のふたつがあります。
歯科矯正~歯を正しいポジションに移動~
歯科矯正では、今ある歯を正しいポジションに移動して歯並びを変える治療が可能です。
基本的にはご自身の歯を活かして治療を行い、歯が生えている位置や歯の傾きなど、ポジションを整えることで、歯列全体の機能性や審美性を高めます。
一部の症例で矯正治療にともない、歯を抜く場合があります。ただし、歯を抜くことにはメリット・デメリットがありますので、慎重に判断します。歯を抜かないでどこまで治療が可能なのかという検討も十分に行います。(参考:歯を抜かない歯科矯正)
矯正装置もマウスピースタイプのものやワイヤータイプのものがあり、お口の状態やご自身のライフスタイルに合わせた治療の選択が可能です。
補綴治療~かぶせ物などの治療~
歯を削ってセラミックのかぶせ物をしたり、歯を抜いて人工歯根のインプラントを入れたりします。
ご自身の歯を削ったり抜いたりすることになりますが、歯そのものの大きさや色を変える必要がある場合に有効な治療法です。
出っ歯の治療法(2)骨が原因の出っ歯の場合
骨が原因の出っ歯を根本的に治療するには、骨格の外科手術が必要です。
外科手術
口腔外科や美容外科での手術で、骨を切るなど形を変える治療が可能です。全身麻酔が必要で身体的負担は少なくないですが、骨が要因の出っ歯を十分に移動させたい場合に有効です。
しかし実際には骨だけが原因の出っ歯というケースは非常にまれで、次の(3)のように骨と骨格の両方に原因がある出っ歯が多数です。
出っ歯の治療法(3)歯と骨格の両方に原因がある出っ歯の場合
出っ歯の原因が歯にも骨格にもある場合、美を追求する方にとっては、歯の治療と骨格の治療の両面からアプローチすることが理想の治療といえますが、時間的・身体的・精神的負担が大きいです。
そのため、現実的なところで治療を検討するには複数の選択肢が考えられますが、歯並びもしっかり治したい方はまず矯正歯科で
- 歯科矯正だけの治療プラン
- 歯科矯正と補綴や外科で連携する治療プラン
を聞いていただき、ご自身が希望する仕上がりになるかどうか、治療の期間や予算が合うものかを検討していただく流れがスムーズです。
歯科矯正と初診カウンセリング
当クリニックには、歯の機能面を求めるスポーツ選手、歯の審美面を追求するモデル職や経営者の方など、様々なニーズの方が来院されています。
歯科矯正は多くの方にとって初めての治療です。
当院では有意義な矯正治療を実現できるように、患者さんと歯科医師とのコミュニケーションを大切にしています。
初診カウンセリングの際に、どのようなレベル感を求めるかをご相談いただければ、それに必要な診療プラン(概算見積もりや期間など)をご案内します。
当院のカウンセリングルームは個室です。治療のことならどんな質問にも回答します。
オンラインカウンセリング(無料)または初診(3,300円・税込)をご希望の方は、LINEチャットでご希望日時とご希望内容を送信してください。
\ご相談・予約はLINEが便利です/
出っ歯のマウスピース矯正を検討している方からよくある質問
出っ歯のマウスピース矯正を検討している方からよくある質問を紹介します。
出っ歯の人が矯正する時って、必ず歯を抜くんですか?
出っ歯の状態の治療においても、歯を抜かずに治療できるケースは多々あります。
すべての出っ歯治療で歯を抜くわけではありません。歯を抜く以外の方法で歯が動くスペースを作り出せる場合もあります。また、適応ではない場合に歯を抜いてしまうと、ほうれい線が出やすくなるなどのデメリットがありますので、歯を抜く際は慎重な検討が必要です。
また、出っ歯に限らず、歯科矯正治療の一環で歯を抜く場合があります。矯正治療では歯を正しいポジションに移動させますが、十分なスペースがない場合に歯の本数を少なくすることでスペースを作り出します。
東京加悦矯正歯科クリニックで出っ歯を治療する場合、実際にどれくらいの人が抜歯をして治療しますか?
出っ歯の状態にもよりますが、実際には4分の3くらいの方が歯を抜かずに治療をしています。
出っ歯の治療は何歳ごろが理想的ですか?
矯正治療をする場合、成長期でこれから歯が生え代わりアゴも成長していく人と、成長期が過ぎてすでに歯が生えそろっている人では治療法が異なります。また、お口の状態によって何歳ごろに治療するのが理想的なのかは異なります。
◆ 成長期でこれから歯が生え代わりアゴも成長していく人
すぐに矯正治療を考えていなかったとしても、一度矯正歯科でカウンセリングだけ受けていただくことをお勧めします。何歳頃の治療が理想的なのかについてお答えできます。
◆ 成長期が過ぎてすでに歯が生えそろっている人
早ければ早いほど良いかと思います。矯正治療は効果が長続きするアンチエイジングと呼ぶ人もいます。当院では20代~40代で治療する方が多いですが、最近は今後のお口の健康を考えて50代~60代以上の方が矯正治療するケースも増えています。
インビザライン治療はできますか?
インビザライン治療も選ぶことが可能です。インビザライン・システムとは、マウスピース矯正のパイオニア企業、アメリカのアライン・テクノロジー社が提供しているマウスピース矯正の治療システムで、これまで世界中で1,300万人が治療を受けています。(2022年6月時点)
インビザラインとそれ以外の治療はどう違いますか?
基本的にマウスピース矯正に使用するマウスピースは技工士さんが作りますが、インビザライン矯正は当クリニックからインビザライン社に患者さまのお口のデータを送信し、その内容を基にマウスピースを作るという点で異なります。