部分矯正
部分矯正とは
部分矯正とは、もともとお口全体を矯正する全顎矯正(ぜんがくきょうせい)の
治療技術を部分的に適応して矯正治療を行う方法です。
部分矯正と全顎矯正の比較
矯正の種類により、治療内容も期間も大きく異なります。
部分矯正
- 治療する場所
- 一部の歯並び
- 治療目的
- 見た目の歯並び
- 歯を動かす期間
- 3~12ヶ月
- 矯正装置
- 表側矯正
裏側矯正
マウスピース矯正
全顎矯正
- 治療する場所
- すべての歯
- 治療目的
- 見た目の歯並び、咬み合わせ
- 歯を動かす期間
- 1~3年
- 矯正装置
- 表側矯正
裏側矯正
部分矯正では何本の歯を治療するのか
「結局、何本の歯を治療するのか」というのは、矯正治療の現場でよくある質問です。最終的には診察した後に決めますが、診察前にあらかじめ知っておきたい方のためにかんたんな目安を紹介します。※お口の状態によりこの限りではない場合がありますので、ご了承ください。
(例)前歯4本の場合
前歯4本の治療は犬歯を含まない前歯4本を指します。前歯のズレ・すきっ歯・歯並びがガタガタ・出っ歯・クロスバイトなどの症状が軽度な方が対象です。
患者様が気になっている歯が前歯の1本だけの場合でも、周囲の歯を動かす必要があることが多く、部分矯正の最低単位となります。
(例)前歯と犬歯を含めた6本の場合
前歯4本と左右の犬歯を含めた6本を指します。部分治療でも犬歯までは移動することが可能です。八重歯など犬歯の移動が目的の場合、前歯の移動量をより大きく取りたい場合には犬歯を含めた6本の歯を移動することがあります。
どのような装置をつけるのか
部分矯正では、歯を動かすための矯正装置と
歯を定着させるための保定装置を使用します。
裏側矯正

歯の裏側(舌側)にワイヤーの装置をつけるタイプです。矯正装置を目立たせたくない方に向いています。
表側矯正

歯の表側(唇側)にワイヤーの装置をつけるタイプです。歯の表側なので周りから見えますが、歯につける部品を従来の金属ではなくセラミックやプラスチックを選ぶことで、目立たなくできます。同じように、ワイヤーの金属色もシルバーではなく、歯の色に近いゴールドを選択できます。
マウスピース

マウスピースは着脱可能な矯正装置です。メンテナンスで通院するたびに新しいマウスピースに変えていきます。透明な装置で、目立たせたくない方に向いています。1日20時間以上の装着時間が必要なため、食事と歯磨きの時間以外はつけたままになります。
保定装置

※写真は前歯4本の部分矯正を終えた方の保定治療中の様子。裏側矯正装置よりも小さいです。
矯正治療が終わった後にセットする装置。当院では後戻りを予防するため、ワイヤー(下写真)で保定します。矯正治療は歯を動かすため、保定装置は動いた歯を後戻りさせずに定着させるために使います。
矯正装置のメリット・デメリット 比較表
表側矯正
- 治療内容
- 全顎矯正、部分矯正
- 治療する場所
- 歯の唇側
- 目立ち方(※1)
- 目立つ(特に上)
- お手入れ(※2)
- 比較的簡単
- 滑舌への影響(※3)
- ほとんどなし
- 仕上がり(※4)
- 微細なコントロールが可能
裏側矯正
- 治療内容
- 全顎矯正、部分矯正
- 治療する場所
- 歯の舌側
- 目立ち方(※1)
- 目立たない
- お手入れ(※2)
- 慣れるまで大変
- 滑舌への影響(※3)
- 個人差あり
- 仕上がり(※4)
- 微細なコントロールが可能
マウスピース矯正
- 治療内容
- マウスピース矯正
- 治療する場所
- 全体
- 目立ち方(※1)
- 目立たない
- お手入れ(※2)
- 着け忘れは厳禁
- 滑舌への影響(※3)
- ほとんどなし
- 仕上がり(※4)
- 美的なこだわりが強い人には不向き
※1:矯正装置の目立ち方
表側矯正は歯の唇側に装置をつけるため、口を開けると装置が見えます。骨格によっては下の歯は見えづらい方もいます。
また、装置の種類は、ブラケット(歯につける金具)を金属・セラミック・プラスチックから選べます(金属以外はオプション料金がかかります)、ワイヤーも歯に近い色を選び、より目立たない工夫をしています。
マウスピースは透明ですが、至近距離でみたら気づかれる場合がありますが、例えば1m離れたら、気づかれるケースは非常に少なくなるでしょう。
※2:矯正装置のお手入れ
表側矯正装置や裏側矯正装置は、一度セットしたら外しません。歯と矯正装置の間を歯間ブラシでお手入れします。お手入れのしやすさは表側矯正の方がラクだと言えるでしょう。
マウスピース矯正は、歯磨きの際にマウスピースを歯ブラシで磨きます。
※3:滑舌への影響
もともと咬み合わせが悪いため滑舌が悪い人(特にさ行・た行)は、矯正治療後に滑舌がよくなります。ただし、裏側矯正の治療中は、舌を動かすスペースに装置をつけるため、矯正期間中は滑舌に影響が出る場合があります。ただしこれは個人差があり、舌の大きさや口腔内のスペースが影響します。
※4:仕上がり
裏側矯正と表側矯正は、歯に直接装置をセットするため、直接力をかえて歯の位置や角度をコントロールできます。そのため微細なコントロールが可能です。マウスピース矯正もかなりのコントロールがききますが、直接力を加えられないため、治療の限界があります。美意識が高い方や仕上がりにこだわりたい方の要望に応えるのは難しい場合があります。
部分矯正で治療したい部位をどう伝えるのか
当院では、ご自身の希望をお話ししていただき、お口の中を診た上で、
担当医が治療プランを提案するスタイルをとっています。
どこの歯が気になるのか
上だけ、下だけ、上下両方など、気になる歯並びを知らせてください。
どのように気になるかを伝える
部分矯正で治療する症状は「出っ歯」や「すきっ歯」「クロスバイト」などの言葉になっているとは限りません。
例えば、「この歯の角度を変えたい」「歯の先端の見え方がとがって見える」「ここの並びがなだらかじゃない」「下から写真を撮った時の見え方」「歯の正中と顔の正中が合っていない」など、ご自身の言葉で伝えてもらって大丈夫です。
ご希望の治療期間
「〇〇年〇月中に歯並びを変えたい」「〇〇年△月×日に撮影があるので、その日には整えたい」などお知らせください。
なお、部分矯正の治療期間は、前歯4本の場合3~12ヶ月、その後の保定が2年~です。
希望する矯正装置や予算
「なるべく目立たない装置がいい」「費用は50万円まで」などの希望を知らせてください。
なお、部分矯正可能な装置は「表側矯正」「裏側矯正」「マウスピース矯正」があります。
予算は下記料金表を参照にしてください。
部分矯正にかかる費用
①治療前費用 | 初診:3,300円 精密検査:22,000円 |
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②治療費用(上の前歯4本の場合) | 表側矯正の場合:220,000円 裏側矯正の場合:330,000円 マウスピース矯正の場合:385,000円 |
③通院ごとにかかる処置料 | 動的治療期間中来院つど:5,500~8,800円 |
④通院ごとにかかる処置料 | 保定期間中来院つど:1,100円~3,300円 |
※上記以外に処置が必要な場合は、別途料金がかかります。価格表示はすべて税込。

